困ったな.com

*

映画彼らが本気で編むときはを鑑賞したのでネタバレありでレビューを書いてみた

   

さて、映画彼らが本気で編むときは鑑賞してきたので、そのネタバレありの感想を書いてみたいと思います。

映画彼らが本気で編むときはネタバレ無しのレビューはこちらから読めます↓↓
映画彼らが本気で編むときはを鑑賞したのでネタバレ無しでレビューを書いてみた

スポンサードリンク

 

映画彼らが本気で編むときはを鑑賞したのでネタバレありでレビューを書いてみた

物語は、トモという小学生の女の子を中心に進んでいきます。トモはお母さんと二人暮らしですが、ミムラ演じるお母さんは仕事の帰りも遅く、家事もせず、そして度々トモを置いて男と二人で家出してしまうような人。物語は、またお母さんがトモを置いて家出してしまうところから始まります。

 

いつものように、荷物をまとめて桐谷健太演じる叔父のマキオのもとを訪ねるトモ。でも、今回はそれまでと違い、マキオの家にはリンコという彼の恋人がいました。

 

ただ、そのリンコさんという女性は、トモが違和感におののいてしまうほど、見た目が「男性的」。綺麗なワンピースに物腰もしゃべり方もとても優しくて女性的なのに、手は大きくて体も大きめ。マキオ曰く、生まれた時は男性だったというリンコ。

 

この日から、マキオとリンコ、そしてトモの三人暮らしが始まります。この三人をめぐって、主要な登場人物をご紹介しましょう。

 

まず、トモのお母さんであり、マキオのお姉さんであるヒロミ。仕事もやめて一月近くトモをほったらかしにしてしまいます。

 

そしてリンコさんが働く老人ホームには、ヒロミとマキオの母、つまりトモのおばあさんがいます。このマキオファミリーもまたかなり一癖ある家族なんです。

 

そして、次に出てくるのはリンコさんの家族。子供のころから男でありながら女の子の頃を持っていたリンコさんを認め、あたたかく包み込んできた彼女のお母さんであるフミコと再婚相手のヨシオ。

 

この三つの家族のあり方が、マキオとリンコ、トモのあり方にまで響いてくる物語となっています。

 

ストーリーの展開を簡潔に述べると、三人で暮らしていくうちに、リンコは戸籍も女性にしてマキオと結婚し、トモを養子にしたいと考えるようになります。

トモも、今まで母親で得ることができなかった愛情をリンコからたくさんもらって、どんどん彼女になついていきます。

トモの友達にも、リンコと同じように男の子でありながら、男の子を好きになる子が出てくるのですが、リンコとの関係が発展するうえで、その子に対する態度もどんどん変わっていくほど。

 

リンコは、女性でありたいという気持ちの反面、体の手術をした際に切除した男性器への未練を未だ抱えていました。

そしてその未練を断ち切るために、毛糸で編んだ棒を108個(煩悩の数)作って燃やしたら、戸籍を女性にすると決めていました。

それに共感したトモはリンコと一緒にその煩悩を編むようになります。その後、マキオもそれに加わり、三人で編みあげていきます。

 

そして108個すべて出来上がり、海辺で燃やしたあと、トモのお母さんであるヒロミが帰ってきます。

マキオの家に来て、トモを引き取ろうとするも、マキオやリンコから、トモを養子に欲しいと言われて戸惑うヒロミ。戸惑いは怒りに変わり、リンコへの批判に変わります。

 

リンコを否定した母親に、トモは怒って「リンコさんは一緒に寝てくれた」と叫んで、「どうしてお母さんはしてくれないの?」と泣いてしまいます。

そんな自分の子供の声に絶望して、ヒロミは出ていこうとしますが、去っていこうとする母親の背中に、トモはすがって「お母さんの傍にいる」と言います。

 

トモが選択したのは、温かな愛情をくれたリンコとマキオではなく、実の母のヒロミでした。

 

 

おおまかなあらすじは以上の通りですが、このストーリーのなかで、それぞれの登場人物の感情の描かれ方がとっても繊細でステキなんです。

 

私がとても心に残ったのは、やはりリンコの女性への憧れと男性への未練。そして、ヒロミの不器用なトモへの愛情と、母に対する愛情です。

スポンサードリンク

 

リンコは映画のなかでは本当に普通の女性として描かれています。むしろ、聖母的な優しさと穏やかさを持った、作中のなかで一番女性らしい女性とも言えるかもしれません。

そんな彼女が抱え持つ、なりきれなかった「男性」への未練。

それはパートナーであるマキオとも共有できないもので、そこに彼女の孤独が表れていて切なかったです。

そんな彼女が、「男性」への未練と決別することが出来たのは、トモとの出会い。

しかし、そこで新たに出てきたのが、リンコは「母」になれないという事実。

トモとの関係で芽生えた母性は、そのままトモを養子にしたいという願望へと変わります。でも、その願いが、トモが帰ってしまう事で断たれたとき。

彼女がトモのいた部屋で泣き崩れる姿は本当につらいものがありました。

「母」になれないというのは、彼女のようなトランスジェンダーの女性だけでなく、様々な女性が抱く可能性のある切実な思いなだけあって、非常に心に響きました。

 

そして、そんな彼女が、家に戻っていくトモに渡したプレゼント。

毛糸であんだ二つのおっぱい。男性に未練を持っていた彼女が男性器に見立てた棒を編んでいたのを考えると、それは彼女の「母になりたい」という強い思いが表れていたと思います。

プレゼントにおっぱいというちょっと「え?」というところもまた、彼女の複雑な思いが表れているようで、胸がいっぱいになりました。

 
次に、個人的に胸に残ったのは、ダメな母親として描かれているヒロミ。

現代社会の問題としてもあげられるネグレクトをする母親像というところでしょうか。

しかし、彼女なりにトモをとても愛していたことが、物語のなかで断片的に表現されているのです。

 

それが一番最初にわかるのは編み物のシーン。リンコの編み物を見ている時に、トモが「そういえば、お母さんはセーターとか絶対買ってくれなかった」というシーンです。

ヒロミは冬物でも編み物系のセーターやマフラーは一切買わなかったというのです。そのシーンでは、「なんでだろう?」で終わるのですが、その後、リンコが老人ホームでヒロミの母と話をしているシーンでその答えが出てきます。

 

ヒロミのお母さんは、ヒロミとマキオが小さい時に旦那さんが浮気で家を出て行ってしまいます。その悔しさから、得意だった編み物を編んで、なんとか心を保っていたのだそう。

その編んだものを子供たちに着せていたけれども、ヒロミだけはとても嫌がったのだと言います。

悔しい恨めしいという気持ちを、繊細だったヒロミは気づいていたのかもしれない、とお母さんは漏らします。だから、今も顔を見せてくれないのかも、と。

自分が着せられたくなかった編み物の服を、自分の子供には着せたくなかったのです。

 

また、トモが歌う歌は、ヒロミがお母さんから聞いていた歌だったりと、ところどころにトモに対するヒロミの愛情、お母さんに対する愛情などが見え隠れするのです。

 

決してほめられた母親ではないのかもしれませんが、彼女なりに苦悩して、どうしても「いい母親」になれない自分を責めていたのかもしれない、と思いました。

 

他にも、登場人物の感情が繊細に、でも言葉少なく描かれているので、見終わった後に、何とも言えない、まるで小説を読み終わった後の読後感のような思いになります。

 

私が見に行ったときはレイトショーだったのですが、周りの人が涙をすする音が聞こえてきたり、シアターを出ていく時に「良かった…」とつぶやいている人がたくさんいましたので、これは本当にオススメの映画だと思います!

映画彼らが本気で編むときは締めとして

映画彼らが本気で編むときはは、生田斗真さんの女性役ばかりに目がいきがちですが、見てみるととても深い物語だと感じました。

トランスジェンダーの方の複雑な悩みや孤独感はもちろんのこと、「良妻賢母」という母親像への疑問や、様々なカップルのあり方、家族の絆のあり方や、新しく作り上げていく家族という絆など、本当に色んなメッセージが込められた映画でした。

涙なくしては決して見ることが出来ない映画ではないでしょうか。

スポンサードリンク

 - 映画